日産自動車元会長カルロス・ゴーン被告(66)が約91億円の役員報酬を開示しなかったとされる事件で、金融商品取引法違反罪の共犯に問われた元代表取締役グレッグ・ケリー被告(64)の公判が10日、東京地裁であった。検察と司法取引した大沼敏明・元秘書室長(61)に対する弁護側の反対尋問が始まり、当時の違法性の認識をただした。
検察側は、役員報酬の個別開示制度が2010年3月に導入されたため、高額報酬が公にならない工作の検討が始まったとみている。大沼氏は検察側の尋問で、09年度の約16億円の報酬のうち7億円を元会長にいったん返金してもらう方法の検討をケリー元役員に指示されたと述べ、「金商法の趣旨に反すると思っていた」と証言していた。
無罪を主張する弁護側は、元会長は08年度分の報酬も一部をいったん返金しており、違法性がない処理だと考えていたのではと質問。大沼氏は「正しくないと思っていた」と述べ、これまでの証言を維持した。
ケリー元役員側の反対尋問は9回予定されており、大沼氏の証言の信用性を追及する方針だ。(根津弥)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル